M-SUZUKI_blog

GSJ主幹”M-鈴木”の、日常とかバトルテックの話とか。

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某所で頂いた質問へのタドタドシイ回答

金属状態の劣化ウラン(面倒なので以降DUと表記する)にはさして危険性が無いことは容易にご理解頂けると思う。
但し、DUのままならだが・・

どう言う事かと言えば、半減期がある放射性同位元素である以上、崩壊すればちょっぴり元素番号の小さい元素に変化する。
で、大概それらの元素は不安定な放射性同位元素であり、半減期はウラン238より短い、結果としてそれを原因とした被曝もあるのだが・・・どっちにせよ他の燃料ウランに比べてすらウラン238を主成分とするDUはそれら崩壊生成する放射性同位元素も比較的少量なのである。(ここ重要、勿論238だけで出来ている訳では無いが、比較論として・・・本当はプルトニウムあたりと比較するのがわかりやすいかも知れないが、極端に過ぎるので自粛する)
ちなみに安定した同位体がただの一つも存在しない元素にラドンがあるのだが、当然ラドンはどんどん崩壊して失われていく、これが無くならないのは実はウランがその発生源である。又、希少元素のヘリウムが地中から掘り出される(沁み出す)のは、放射線の一種アルファ線が電子を獲得してヘリウム原子になるから。参考まで。
話を戻そう

何故かというと、まず被曝の問題では45億年の半減期(逆に言うと、崩壊速度がゆるやか)である準安定同位元素であるウラン238が発する放射線の量は比較的少なく、背景放射線に紛れるレベルだからである。(プルトニウムが放射能毒性に於いて危険視されるのは半減期が短い故である、危険性は半減期に反比例する)
これは精製後尚混在する他のウランに起因する放射線量に比べると無いも同じであり、DUそのものの放射線量が未精製金属ウランに比べて劇的に下がっている訳では無いにせよ燃料としてのウランに比べれば非常に低く抑えられている。
勿論上記の「背景放射(自然放射線量)」に紛れる云々と言った話も、線源が体外に存在する場合であり、体内被曝の場合は可也危険性が増す(後述)とは言え、万が一経口摂取しても重金属は一般的に水溶性である為、他の重金属同様の中毒や腎臓障害を引き起こす可能性があるものの、比較的早期に体外へ排出される事が期待される。
しかし、各種のWEBサイトでも紹介されている通り、DUを装甲・弾頭に使用する際の人体への危険性を謳うならば、燃焼後の危険性を論じなくてはならないと思う。

何故燃焼なんぞを話に持ち出すのか?
少々寄り道をご容赦願いたい。
ウランは金属状態に於いて、鉄鋼とほぼ同等の性状(硬度、加工性)を有し、その一方で鉛の1.5倍以上の比重を有する事から「重り」として最適の素材である。
その為航空機の翼端フラッターや作動機器の共振破壊防止の為に使用される場合がある。
だが、々膓皺修垢觧で高い剛性を獲得可能であり破断時に鋭角の先端を生じ易く9發な射線遮蔽性を有しぃ隠横娃亜酊度で激しく燃焼する
等の点が加わることで、おもむろに兵器の素材としての有効性が取り沙汰される事になる。
そもそも重要なのは高い比重そのものである。
何故なら砲弾が重装甲を貫通しようとする場合、化学的手法(モンロー効果等)に頼らないのであれば、残るは原始的な力任せの突貫に於いて他は無く、その際「ある一定以上の質量でもって如何に高い運動エネルギーを狭い面積に集中するか?」と言う子供でもわかるような命題にのみ取り組む訳なのだが、空気抵抗と砲身内圧力と質量と投影面積と言う要素が「より高い比重」を砲弾材質に求める。
特に細い槍状の弾芯が主流の戦車砲をはじめとする徹甲弾も、過剰な縦横比が不要のモーメントを生じるが故に翼の存在を余儀なくされている等、技術の発展だけでは解決しきれない素材依存特性が大きい。
しかも、オスミウムは言うに及ばず、現在主流の高比重高硬度弾芯の素材であるタングステンも又、価格が高く、しかも加工性に乏しい材質である。
だが、DUは加工性が前述の通り良好なのであり、しかも安い。前述の材料に比べれば只同然。
しかも、こうした弾芯として使用した場合、装甲に衝突して先端が損耗しつつ貫通して行くのであるが、その損耗破断時に自動的に鋭角な断面を生じる事は、貫通力の維持と言う観点から極めて理想的なのである。
それ以上に砲弾材料として魅力的なのは前述の発火性である。
1200℃以上になった際、金属ウランは燃焼する。
砲弾が装甲を貫通しようとする場合、この領域への温度上昇は不可避に避けられないもので、そもそも1000℃程度なら燃焼物が集中した火災に於いてごく当たり前の温度である。(エグゾセミサイルでイギリスの艦艇があっさり沈んだのも軽量化のため構造物がアルミ合金製で、密閉消火が出来なかったからである・・・が、メリットの方が多いので今でも殆どの艦船はアルミ合金が主材)
この燃焼(発火)性が何故弾頭に適しているかと言うと、装甲の内側には装甲で守らなくてはならない「脆弱なモノ」が存在するからである。
ひ弱な有機物(我々のコトだよ?)や専用ケースに入っているとは言え無装甲同然の装薬や炸薬、それに電子機器に燃料は、装甲の内側を飛び回るサラマンダー引き裂かれ、同時に灼かれる事になる。
これが砲弾に多用される理由の主な点である。
装甲に使用される理由も50歩100歩であるが、ここでは安価・高剛性・加工性・重比重だけで簡単にすませたい。
発火性等が齎すであろう装甲として好ましくない特性も、DUを外層側に取った装甲材質の多層化で問題の解決を見ている。

ここまで延々と兵器の材料としてのDUの優位性を説明してきたのは、その結果何が生じるか?を説明する為に他ならない。
その特性上DU(に限らずウラン)を弾芯や装甲に使用した場合、通常の金属が着弾時の摩擦で微粒子化・酸化する事で生じるのとは比較にならない量の酸化金属が生じ、その殆どは2酸化ウランである。(その他、八三酸化ウランや3酸化ウランがある程度含まれる)
結果としてエアロゾル状態の酸化ウラン粒子が大気中にばらまかれる。
この状態のウランは金属ウランと異なり非水溶性であり、コロイドを形成しているが、その中には直径1〜0.1ミクロンの、飛散しやすいサイズのものもある。
(研究が進んでいない/又は利用可能な公正なデータが一般に知られていない以上、その割合を推測することは避ける)
そもそも、プルトニウムの場合でも作業者の健康上最も危険視されているのは「経口摂取」では無く「呼気摂取」である。
これらの酸化ウランは肺胞に付着してからその一部が体液に吸収され、更に排出されるまでの生体半減期が比較的長く(10年単位らしい)これは経口摂取では運悪く胃腸等から吸収されるごく僅かな場合を除き数日単位であるのと対照的と言える。
結果として非常に長期の体内被曝を近接細胞に与える可能性が高い・・・と指摘されている。
体内被曝が怖いのは高いエネルギーを持つアルファ線(中性子2個陽子2個で出来た原子崩壊時の放射線の一形態・・・実はヘリウム原子核と同じモノ)がダイレクトに細胞に影響を与える為である。
アルファ線はエネルギーも大きいが、容易に遮蔽される放射線であり、体外から照射されても皮膚上層角質層でほとんど遮られる。
しかし体内にあれば遮蔽そのものが細胞自体であり、遺伝子が破損する可能性も高い。
但し!!ここで思い出して頂きたいのはDUの被曝毒性が比較的低いと言う事実である。正直、ラドン温泉と比較するレベルらしい。(厳密に計算した訳ではない)
DUによる被曝毒性は、呼気摂取した酸化ウランの量の程度にもよるが、今のところ世間が騒ぎ立てるレベルには無いと思われる。
そもそも低量被曝の影響は様々な理由から今のところわかっていない。生体自己修復能力の活性化を促す場合すらあると言われており、その生体自己修復能力も個体差がある。
DUの反対団体などが論拠にする癌発症率の増大について、米政府の「DU弾使用地域と化学薬品等の使用地域が重複している為に、一概に癌等の発生の原因としてDUのみを語れない」との主張も一定の範囲の論理性を有しており、動物実験等の進展を待ちたい。
ちなみにプルトニウムでは、被曝感受性が人間より高い犬を用いた実験が行われている。
詳しくは後述するが、癌に限らずDUが原因だとしても放射線が原因では無い可能性もある。

エアロゾルになる事で人体に入る可能性が増大した際、もう一つ重要な点は「酸化ウランの毒性」である。
これについても具体的な文献は動物実験他によって以下の通りの傾向が紹介されている。
・ウランの化学毒性は尿細管細胞を損傷し、腎炎の原因となる。
・化合物が溶解性であるか不溶解性であるかによって、毒性に大きな違いが出る。
 水溶性塩は全身、主に腎臓に対して毒性を持つ。
 不溶解性化学化合物は、主に肺に対する化学毒性と、全身への放射性毒性を持つ。
 不溶解性酸化ウランの吸入は、肺組織全体とくに肺胞上皮への非ガン性障害を引き起こすということを示す、人間についての研究報告がある。
 急性被爆では、気腫や肺繊維症にもなり得る。また動物実験では、ウラン化合物が血液学的に害作用を引き起こすことが分かっている。
・二酸化ウランは血中に入ると六価ウランとなり、全身に対する化学毒性を持つ。
 酸化ウランの(消化器系以外からの)排泄率は低く生物学的半減期が長い。
 (結果従軍兵士についても未だ体内に滞留しており、腎臓を通過していない可能性が高い。)
・ウラン化合物による肺や腎臓への直接影響は、化学毒性と放射毒性の複合結果と考えられ、これら分離できない2つの要因のどちらに一つ一つの障害がどの程度関係しているかを判断することは、困難である。

等・・・・なのだが、かつて「プルトニウムは無害だからごくごく飲んでも大丈夫」とか言われたプルトニウムが実は毒性があると訂正された、笑える笑えないを通り越した事象が存在したのも事実。完全なる回答は藪の中・・・と言う主張もある。

もちろん明確に判っていない影響だから無視して放置してよいと言う理由にはならない。

従って発火燃焼する事が運用形態上不可避であるDU(っつうかウラン)は、(酸化ウランの)自然環境下及び生体環境下での特性と化合物や生成物の有無の確認と、それらの生体影響を(現在聞かれる状況が誤りであり健康に余り影響ない・・・と)確認するまで多用して欲しくは無い。
金属状態での毒性が鉛より上とか言ったらドキドキですが(笑

ちなみに物性を無視して妄想してみたんだが、・・・・全米ライフル協会が鉛の代わりに銅被覆する(鉛毒対策として)のを止めて、「今後は軟化加工済み劣化ウランを使用します」とか仮に言ったなら、アメリカ国民は納得するのだろうか?
雑談 | - | -