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GSJ主幹”M-鈴木”の、日常とかバトルテックの話とか。

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メックの重量の話−2・・・・20tメック擁護論 其の一

 続いて「軽量級メック(特にこの場合20tメックを指す)に存在意義はあるのか?」と言う命題に足を突っ込んでみましょう♪
 非常に難しい問題であり、ゲーム世界を形作る背景設定としての存在価値を除き、殊に戦闘ゲームとしてのバトルテックに於ける存在意義はなきに等しい事に疑問の余地は無いでしょう。
 何故なら、同重量の浮上移動式車輌に対してすら、装甲火力移動力価格、どの点をとっても敵うべくもない状況にあるからです。
 (同価格で語るならばその差は埋め様もありません)
 勿論総合的耐久性の点で「一般的に」メックに分が有るのは事実ですが、「被弾!即、部位消滅!!」と言った様相を呈しかねない20tメックを擁護するには少々役不足だと言えます。
 酷い事を言えば、勝利条件を満足するための(ひ弱な)頭数や、撃墜されるその瞬間まで相手の侵入を阻む置石と言った扱いになるのも当然な、文字通り「軽い」存在なのです。
 理由は言うまでも無いと思いますが・・・
・中枢点が低い為装甲限界が低く、一撃に耐える装甲すら施すことが出来ない。
 (生死を分かつ重量は25tであり、戦闘能力継続に寄与する分水嶺は30tにあります)
・ジャンプジェットの搭載に必要な対自重比率が高い。
 (20t以上の全メック中最高)
・コクピットの対自重比率が高い。
・余剰重量が乏しく、「その一撃」で行動に制限を加え得る(心理的側面にせよ物理的側面にせよ)火力を有することが困難。

 等、碌な評価を下す事は出来ない条件ばかりが揃っているからです。
 実際、恥ずかしながら少なからぬ戦歴を自負する(つもり)の私におきましても、20tメックを以って挙げるに至った戦果と言うのは玉珠の如く一際と際立った燦然たる想い出として脳裏にこぶりついている・・・・程に稀少な出来事でした。(※2)
 その一方で20tメックから蒙った屈辱的想い出と言うのもあったり目撃したり・・・(※3)

 しかし、件の「背景設定」を盛り込み、そしてMWとして、兵站までも考えた時、20tメックはその存在感を明確にしてくれるのです。

 例えば、純粋に偵察機として考えた場合です。
 もしもその惑星が「映画トロンのワイヤーフレームも斯くや」と言う平地のみで語り得る環境であったなら、浮上移動式車輌を越える「静・動」両環境に適応した偵察機材は有り得ません。
 しかし実際の環境はその様な「何らかの理想環境」とは全く異なっています。(当然ですな)
 呼吸できる大気や敵対的自然環境の有無に関わらず、起伏に富んだ装軌車輌ですら突破するのが困難な地形をすら難なく正面から通りぬけ、観測ポイントを自らの手で整え、長期に渡る単独活動を可能としているならば、メックによる偵察と言う選択肢は非常にハイレベルな領域で魅力的な物と言えます。
 しかし、完全に偵察活動に従事する事が明白な機材に対して(自衛戦闘の可能性があるにせよ)余計な重量も余計な経費も(前線の戦闘員以外が)望むところではありません。
 だとするならば、20tと言うメックは自衛戦闘の可否と軽火器に対する防御、ジャンプジェットを含む充分な機動性を確保する為に必要な最低ラインとなっていると考える事が出来るでしょう。
 勿論これは飽く迄も星間連盟時代の論理です。
 (一方の3025年代では開発時とは異なる理由で以って20tメックは花形足りえるのですが、それは後述します。)

 背景設定的に偵察以外を意図して設計された20〜25tメックは殆んど存在しません。
 ワスプに始まりスティンガー、ソーン、ローカスト、マーキュリー・・・
 これらはそれぞれ「ジャンプも搭載した優速の偵察機」「ワスプの製造メーカーを吸収した大手による面子のポストワスプ代替偵察機(ワスプと並行生産)」「優秀な遠距離火力を有する機動戦力・・・但し当初は失敗作扱い(本来軽量中枢とCASEを搭載)」「画期的な高速性能を持つ偵察・後方攪乱機」「旧式化した前述機種に替わる新型システマチック偵察強襲機(本来外部統合操作システムやMASC、軽量装甲を装備していた)」として立ち上げられました。
 20tメックと引き合いに出される25tメックも又興味深い存在です。
 3025年までのメックを見た時、設定上そうと意図して作成された25tメックは唯一「マングース」のみであり、これは「高性能センサーと高速性能の両立」を目的に選択された仕様であり、意志次術を失った31世紀初頭に於いては「ローカストの上位機種」として存在します。
 と言うのは「コマンドウ」は本来20tで計画されていたものの、随伴する大型メックとの連携に必要とされた要求武装の過大さとFCSの肥大化が重量増加を招き、止むを得ず25tメックに変更したと設定されているからです。
 そして勿論の事マングースもコマンドウも優秀な偵察メックとして機能するべく作られているのです。
 以上の様に20〜25tでは唯一「ソーン」のみが元来からして攻撃を意図して設計されているのです。

 さて、上記のコマンドウの解説を紐解くことで判明した通り(3025年以前・公式に)「わざわざ25tメックを25tメックとして作ろうとして成功したメーカー」は唯一「マングース」を製造した「ディプランメックヤード社」のみと言う事になります。
 それは一体何故でしょうか?
 その想像(っつうか妄想)の一つが拙作「軽量級考察其のニ 何故20tメックがこれほどまでに大量に生産されたのか?」で表明した「理由」です。
 (簡単に言うと「当初は高速メックを軽量機以外で実現するのが困難なだったが、後により重量のあるメックが低リスクで高速を実現可能となって後は敢えて30t未満で高速機を作る積極的理由が無くなった。勿論偵察任務に供するメックの需要はあったがそれには大量生産体制が整っていた20tメックが適していた為敢えて25tメックが必要とされることは無かった。そして技術衰退が進んだ今では選択の余地無く生産可能で安価な20tメックが幅を利かせている」と言うものです。・・・そんなに簡単でも無いか(苦笑))

 3025年代の「現代」でこそ20tメックが供されている任務・運用は不本意なまでに幅広く、結果として「優秀な機動性」だけではなく「より厚い装甲」や「高い火力」をも求めています。
 しかし偵察行動を中心に用いるメックの為に新たな生産ラインを構築するくらいならば、より戦力として優秀なメックの為にその努力人材資材資金を投入するべきであり、たかが20tメックに毛の生えた様な程度の性能しか持たないメックを「どうしても生産しなくてはならない」訳ではありません。
 勿論偵察のみに用いるしか無い程度の性能しかないなら、同程度の性能が実現可能な15tメックでも良いだろうとの意見もあるかも知れません。
 しかし、これまた「たかが偵察専用メックの為に新規の生産ラインを起こす」意義が希薄なのです。
 例え15tであってもコクピットに必要なコストと重量は遍く等しいものであり、20tメックと15tメックの性能差に見合うコストダウンが実現出来る可能性は無いに等しい上に、既に安定した大量生産ラインが構築されており、潤沢な予備部品に溢れた既存機種から切り替える事には殆んど意義を見出す事が出来ません。

 これは循環論法にも等しい「理屈」ですが、工業生産品に於いて既存製品との互換性と生産ラインの流用性、そして信頼性と言うものは、需要がある限り尊重される傾向があるのです。
 いや、ホント

 まだ続くかも・・・・・

※2
 ●ポーンクラブ(参考までに書くと移動力9/14/0、中口径レーザー2門)
 ・複数機の古参MWで55t(精鋭MW搭乗)を撃退
 ●シャドゥフェイク(移動力5/8/5、中口径レーザー2門、5連LRM1基)
 ・複数機の古参MWで55t(精鋭MW搭乗)を撃退
 ・中量級小隊同士の戦闘に参加して、ハイエナ的にウルヴァリンとシカダを撃墜
 ・車輌と連携して重量級を含む小隊を撃退
 ●ローカスト
 ・意図的なスリップ(爆)でサンダーボルトを転倒させ、脚を折りかける(かけただけ)
 ・M型(LRM装備型)でオストロックを撃墜(要はラッキーヒット)
 ●スティンガー
 ・アサルトメックを3Lvの丘陵から突き落とす×2回
 ・重量級メックを(同上)×3回
※3
 ●背面に回り込んだチーター2(移動力10/15/0、小口径レーザー5門)の突撃を食らった上に、
  突撃を受けた55tメックが反撃した(殴った)ら
  「中央胴体中枢耐久力が1撃で無傷から0」になり、
  爆発判定にひっかかって200pエンジン爆発の爆風を受けると言う踏まれたり蹴られたりな気分
 ●某友人の90tメック「ブラッドサッカー」(移動力3/5/0、PPC2門、5連LRM2基、中口径レーザー8門)が
  頭部にPPCを受けセンサー損壊、勿論中枢は後2点
  結果として20tメックの拳を恐れてボード上を逃げ回ると言う体たらく。(笑)
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