メックの重量の話−3・・・・20tメック擁護論 其の二
もう少々20tメックを擁護する話にしがみついて見ようと企んでおりますデスはい。
メックの重量が軽いと言う事は
・製造上必要とされる資材
・組立工数
・運用消費材量
・運搬コスト
以上全ての項目に於いてその数値は減少し、即ち安価になる事を意味する訳ですが、もう一つ重要な利点が残っています。
その利点とは・・・文字通り「軽く小さい」と言う事です。
メックの重量が軽いと言う事は
・製造上必要とされる資材
・組立工数
・運用消費材量
・運搬コスト
以上全ての項目に於いてその数値は減少し、即ち安価になる事を意味する訳ですが、もう一つ重要な利点が残っています。
その利点とは・・・文字通り「軽く小さい」と言う事です。
この事実が意味する処は被視認性・被探知性(※4)を大幅に引き下げると言うものばかりではありません。
(勿論それ一つのみをとってさえも行動決定の選択肢を考える上での重要な参考項目ではある)
急峻な斜面や激しい高低差を有する地形を移動する必要に迫られた時、通常ならば(勿論の事)ジャンプジェットを用いてクリアして行く事になるのですが、殊、偵察行動に於いてはそれが正解とは云い難い状況・条件に多々見舞われる場合があります。
まさか領域浸透偵察活動中に、大音響(20tの鉄塊が高度30mから落下する!)を響かせながら移動する訳には行かないでしょう・・・もしかすると運悪くも「比較的」近くにいるかもしれない勤勉ならざる敵にわざわざその存在を知らしめ、御足労願い奉る事になってしまうかもしれないからです。
すると如何なる方法でその障害物を征服するのか?
勿論、答は1つです
「手足を使って移動する」
――僅かな凹凸に爪先を蹴り込み、岩の隙間に指先を差し込むと、それだけの手がかりに全幅の信頼を寄せて一気に身体を持ち上げる。熟練した山岳偵察兵でもある彼のスティンガーは斜面の弱点を巧みに縫って瞬く間に稜線までの危険地帯をトラバースして行った――
・・・まあ、こんな表現が妄想の領域を出ない事はご承知措き戴いているとして(苦笑)、意図するところはわかって頂けたのでは無いでしょうか?
もうちょっとありそうなシチュエーションを考えると・・・・
――ティエルのワスプは驟雨に晒され続けて使い古したスポンジの様に脆くなった急斜面を、木の幹と脆弱な地盤とに巧みに荷重を分散させてじりじりと高度を稼いで行く。防水カバーに覆われた中口径レーザーは背中に懸架されており、泥にまみれた左腰の2連短距離ミサイル発射口を見るまでもなく、現在彼女のワスプは即時戦闘能力を喪っていた。
しかしその事に不安は感じない。何故なら今現在彼女が戦っている相手はこの地形そのものであり、今、彼女のワスプの装備状況はその戦いの為に全力を尽く為のものだったからだ。
20tもの巨人が半ば木々を押しのけながら泥濘と化した斜面を移動しているにも関わらず、驚くべきことにその通過跡をそれと指摘することは非常に困難だった。幹に真新しい破断面を晒す木が殆んど無いばかりか折れた枝すら疎らであり、地形を熟知した上で選択されているそのルートは通過直後こそ深い足跡をその泥濘に穿っているものの、僅かな時間で周囲から流れ込んだ泥水によって見分けを付かなくなっていった。
これは50tにも達しようとする、巨体をもて余す戦闘専用メックには不可能な話だった。――
ってな感じで
・・まあ、小噺を書くネタにでもなれば幸いデス。
※4 鋼鉄の巨人は身じろぎ一つで大地を鳴動させ、その巨体がひと度疾走を開始したなら周囲三里に住まう小さき物どもは恐れおののき我先に塒を飛び出して泣き叫ぶであろう・・・とか言うのは冗談にしても、移動する磁性体の総質量、移動時の振動量、消費エネルギーに比例して周辺環境に撒き散らされるであろう赤外線と電磁波の総量等はそのまま被発見率の係数の1つになるのです。
(勿論それ一つのみをとってさえも行動決定の選択肢を考える上での重要な参考項目ではある)
急峻な斜面や激しい高低差を有する地形を移動する必要に迫られた時、通常ならば(勿論の事)ジャンプジェットを用いてクリアして行く事になるのですが、殊、偵察行動に於いてはそれが正解とは云い難い状況・条件に多々見舞われる場合があります。
まさか領域浸透偵察活動中に、大音響(20tの鉄塊が高度30mから落下する!)を響かせながら移動する訳には行かないでしょう・・・もしかすると運悪くも「比較的」近くにいるかもしれない勤勉ならざる敵にわざわざその存在を知らしめ、御足労願い奉る事になってしまうかもしれないからです。
すると如何なる方法でその障害物を征服するのか?
勿論、答は1つです
「手足を使って移動する」
――僅かな凹凸に爪先を蹴り込み、岩の隙間に指先を差し込むと、それだけの手がかりに全幅の信頼を寄せて一気に身体を持ち上げる。熟練した山岳偵察兵でもある彼のスティンガーは斜面の弱点を巧みに縫って瞬く間に稜線までの危険地帯をトラバースして行った――
・・・まあ、こんな表現が妄想の領域を出ない事はご承知措き戴いているとして(苦笑)、意図するところはわかって頂けたのでは無いでしょうか?
もうちょっとありそうなシチュエーションを考えると・・・・
――ティエルのワスプは驟雨に晒され続けて使い古したスポンジの様に脆くなった急斜面を、木の幹と脆弱な地盤とに巧みに荷重を分散させてじりじりと高度を稼いで行く。防水カバーに覆われた中口径レーザーは背中に懸架されており、泥にまみれた左腰の2連短距離ミサイル発射口を見るまでもなく、現在彼女のワスプは即時戦闘能力を喪っていた。
しかしその事に不安は感じない。何故なら今現在彼女が戦っている相手はこの地形そのものであり、今、彼女のワスプの装備状況はその戦いの為に全力を尽く為のものだったからだ。
20tもの巨人が半ば木々を押しのけながら泥濘と化した斜面を移動しているにも関わらず、驚くべきことにその通過跡をそれと指摘することは非常に困難だった。幹に真新しい破断面を晒す木が殆んど無いばかりか折れた枝すら疎らであり、地形を熟知した上で選択されているそのルートは通過直後こそ深い足跡をその泥濘に穿っているものの、僅かな時間で周囲から流れ込んだ泥水によって見分けを付かなくなっていった。
これは50tにも達しようとする、巨体をもて余す戦闘専用メックには不可能な話だった。――
ってな感じで
・・まあ、小噺を書くネタにでもなれば幸いデス。
※4 鋼鉄の巨人は身じろぎ一つで大地を鳴動させ、その巨体がひと度疾走を開始したなら周囲三里に住まう小さき物どもは恐れおののき我先に塒を飛び出して泣き叫ぶであろう・・・とか言うのは冗談にしても、移動する磁性体の総質量、移動時の振動量、消費エネルギーに比例して周辺環境に撒き散らされるであろう赤外線と電磁波の総量等はそのまま被発見率の係数の1つになるのです。
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